4月下旬の某日の朝7時15分、私はこんなところを歩いていました。
稚内からフェリーに乗って利尻島に渡るためです。

ウニ丼を食べるという目的としては、少し当てが外れた旅ではありましたが、シーズンに入る直前の人が極端にいないで雄大な自然に囲まれる、というまさに非日常な世界を過ごせてリフレッシュになりました。
今回はそんな風に利尻で過ごした1日をご紹介したいと思います。
朝7時半発のフェリーに乗って1時間40分の旅
利用するのはハートランドフェリー。稚内からは利尻島か礼文島に行けます。今回礼文島も結構迷ったのですが、利尻島ってやっぱり「利尻昆布」が有名で昔から知ってるところだし、この時はまだウニ丼食べられると思っていたので、このへんのウニは利尻昆布を食べてるから美味しい、と言うなら、その利尻に行きたいということで行ってきました。
ターミナルからギリギリ乗り込む
上のフェリー乗り場の←表示があるところを曲がってから、結構歩きました。
出港は7時半なのですが、次のが11時になっちゃうので遅れまいと必死。ターミナルは新しくて、1回でチケットを買ったら2階に上がって乗ります。結構ギリギリだった。
なかなか快適できれいな船内
もちろん2等(片道2550円)でしたが、すごく新しいし3席占領して横たわってる人が多くて快適な感じでした。
運賃表はこちら。
お手洗いとかも普通にきれいです。
船から眺める利尻富士がきれい
船室を出て海を感じつつも、まだ寒いので大体中に入ってましたが…
出港から1時間20分くらいして、利尻富士が見えてきたので再び外へ。
雪化粧でとても美しい。
利尻島の鴛泊港に到着。オフシーズンの現実を思い知る。
鴛泊は「オシドマリ」と読むそうです。こちらのターミナルも結構新しくてきれいな感じ。
日本語、英語、中国語の色んな案内があったし、インフォにもお二人の方がいらっしゃいましたが、判明したのはウニ丼を提供するお店もやっていないし、観光バスもやってないし、レンタカーとかもやっていない!ということであり、5月にならないとお話にならないということでした。
これはウニ丼だけじゃなかったんですよね。

さて困った。
駐車場では写真撮ってる人もいたのですけども。
そして9時過ぎなのに、路線バスだと11時台まで来ないことも判明。な、なぬ…
姫沼まで5kmの道を歩くことにする
だってそれしかないですよね。2時間以上もバス待ってるわけにもいかない。利尻島ではウニ丼食べたい、以外では姫沼行きたい、というのがあったので、バスが来ない以上歩くしかありません。
Googleマップ的には4.2kmと出ますが、実際にはもう少し先まで行くので5km近いと思います。
途中まで海岸沿いを歩いていくので飽きない!
とはいえ、最初の2.7kmくらいは平坦な海岸沿いの道を歩いていくだけなので、そんなに大変ではないし、何しろこの絶景の海沿いの道を歩いてるのは私だけで、たまに地元っぽい軽トラが走ってるだけ、という平和な感じが朝からすごく幸せな感じです。
このトンネルを潜る時、Wii Fit のジョギングのコースを思い出してしまいました。やったことある人ならわかってもらえると思いますが、現実のウィーフィー島みたいです。
しばらくずーっと歩きます。この近くに自動販売機がありました。でもお店とかは全くない…
脇を見ると、こんな風に雪解け水が流れて海に通じているところがありました。
あの表示のところまで行くと右に曲がり、坂道を歩いて行くことになります。超わかりやすいです。ここまで2.7km
歩きました。
海岸沿いの道から山の方への坂道を歩いて姫沼展望台へ
そしてこういう坂道を登っていくことになります。
こっちは坂をちょっと上がったところで振り返って海の方を。ゆるそうな勾配ですがこの時点で港から相当歩いてきてます。
道はぐるっと回る形で登っていく感じです。ここを曲がると一気に勾配がきつくなります。
ぐるっと回った後の道を登りつつ垣間見える海。
姫沼展望台に到着!
これは…本当に絶景。
向こう側に見えるペシ岬と鴛泊港。あそこから歩いてきたんですよ!フー
セルフィー撮りつつ、そこにあるベンチでしばし休憩。
4月下旬とはいえ北の大地の更に北部なので真冬の格好できましたが、ここまで歩くとジャケットは全然要らなかった。先ほど自販で買った飲み物とともに休憩です。
駐車もできますが、全然誰もいなかった。この時点でちょっと、私こんなに一人でこの大自然。大丈夫か。って気がしてます。でも逆に1台だけ車が来るのも怖いという。
更に展望台から姫沼のある場所に(登る)
展望台のところから撮った、これから更に登っていく道。
登りです。とにかく登る。 これ、何の表示何でしたっけ?とりあえず、この表示の柱も木だったのが印象的。
ヒグマが上陸していた?!ちょっと熊談義。もし羆に遭ってしまったら?
途中ね、この道路沿いの森林から、「ガサガサ」って音がするんです。これが北海道の本土なら「く、熊?それもヒグマ?」とビビりますが、「離島だからいないよね」と言い聞かせつつ。
この時は電波の入りも悪いし、いざとなった時にバッテリー切れても嫌だから回線切ってて、調べもせずに歩いてましたが、利尻島には何と昨年2018年に106年ぶりにヒグマが上陸していたというのです!これ、この周遊を終えてから知って「ま、マジで?」とガタガタ震えたのですが、続報を読むと餌もないので去った後だったようです。
しかし、直線距離でも海を20km泳いで来られるって、すごすぎる…
ちなみに熊は熊でも日本では北海道にのみ生息する羆はツキノワグマとは比べ物にならないくらい大きく、もし襲われたらまず助からないと言われてます。ツキノワグマは襲われて、九死に一生を得る可能性もあるみたいですが…
あと、死んだフリは有効な方法ではないらしいです。もし出会ってしまって助かるとしたら、目を合わせたまま後ずさりし、向こうが興味を持たずに去ってくれるのを願うしかないそうです。
もし食べ物を持ってたら、それを投げてそっちに興味がいってくれるのを願う。これも助かる可能性が高まるそうです。逆にあなたの持ってる食べ物を狙ってる可能性があるので、持ってたら必ず投げる。自分の手前に投げるとおびき寄せそうなので、投球力勝負かもしれない…山道なら下の方に投げるとか。
熊よけの鈴とかは、人間に出会いたくない熊に存在を知らせるのに有効なだけで、別にその音を鳴らしたからって嫌がって逃げるとかではないらしいです。
なので人間を襲ったことがあって味をしめてる熊なんかだと、鈴はむしろおびき寄せる可能性もあるとか…
とにかくやっちゃダメなのは「背を見せて走る」ことだそうです。これをやると熊の追いかける本能を刺激してしまい、追いかけられるリスクが非常に高く、追いかけられたら最後、時速60kmなので絶対逃げ切れないです。
何だかやたらに語ってしまいましたが、昔から三家別羆事件とか福岡大ワンダーフォーゲル部の事例を読んで震えてたので、一般人にしては少し詳しくなってしまい、長いですが書きました…
利尻にはいないので大丈夫ですけど…北海道本土で登山をされる方は熊よけスプレーを持って行かれた方が良いかも…
とりあえず利尻にもう熊はいないので安心して姫沼に向かいます。
時々聴こえる「ガサッ」って音に、ちょっとビクとしつつも、登り続けていきました。
時々、道路脇にフクロウなどの木彫りがついた杭?がありました。これは何だろう。
そして姫沼園地の入り口のところまで来ました!
利尻富士を映し出す光景が美しいとされる姫沼園地へ!
こちらが入り口。車で来られた方も、こちらの駐車場まで。ここからは徒歩で入ります。お手洗いもここにあります。
車だけじゃなく、バイクも自転車も進入禁止です。こちらで働いていると思われる方に「こんにちは」と挨拶されました。かなり久々に人に会った感じでホッとしました。
ちょっと歩くと橋が見えてきます。
下を見下ろすとこんな感じ。雪解け水がちょろちょろ流れてもいました。
ついにたどり着いた姫沼!
橋を渡り終えて数分歩くと、ついにこの美しい光景に出会えました。
少しさざ波が立っていて、鏡のように利尻富士が逆さに映る「逆さ利尻富士」とはなっていませんが、それでもこの姫沼の水面の光が反射してキラキラと光る美しさと雪に覆われた利尻富士のコントラストは本当に感動的に美しかったです。
しかもこの静けさ。シーズン中だともっと人がいるのかな。ちょっと鳥の声と、水音と、風と。びっくりするほどピースフル。
https://t.co/uTdc6Ljrfn pic.twitter.com/XtS9HqPaj3
— マダムSFC@夏の大移動の締めは宮古島 (@sfc_madame) October 3, 2019
姫沼からの帰り道。静けさは相変わらず。
同じ道を辿って帰るだけですが、坂を下りていき、反対から見る風景はまた受け取り方も異なり。
キツツキもありました。この通り沿い、こんな風に鳥付きで杭?が立っています。
野塚展望台まで2kmという表示です。さすがに往復プラス4kmは厳しいので見送りました。
また姫沼展望台に戻ります。
そして海岸沿いの道に戻ってきました。
水の透明度も抜群ですね。ここは。沖縄地方とはまた対極的な北の海。
ヘトヘト。鴛泊港のターミナルでラーメンを食べ、稚内に帰る。
ターミナルに戻ってきました。フー、まじで四十路越えてるし元々体力ない私なので、往復10キロ近い坂道ありの散歩は気持ち良かったけど、疲れました。
こちらのターミナルはきれいなのでお手洗いも安心。

こちらで書いた通り、ウニ丼など近辺のお店は5月からの営業だったので、ターミナルのこのお店で食べることに。
利尻富士をこんな風にして見ながら食べるのは贅沢だった。
礼文経由のフェリーに乗って稚内に。
実は来る前は16時40分の稚内への直行のフェリーに乗るつもりだったのですが、もうこうもお店もやってなくて、どこに行くにも徒歩で、姫沼まであの道のりを往復して、ターミナルで私は疲れてました。
ターミナルで時間潰すよりも、礼文経由だと3時間もかかるけど寝られそうだしいいかなと思って、一つ前の14時35分の便に乗ることに。
ちょっと驚いたのは、結構お客さんがいたことです(笑)近隣国からの団体の方が多かったかも。次は礼文島に寄るのか、この便の乗船率が高かったですね。
で、長距離だと、こんな風に座敷っぽいスペースが多かったです。
私もこちらでカバンを枕がわりに横になってました。
…結構寝られたみたいで、2時間ほど写真も撮ってません。
落ちていく夕日を船から
稚内に到着する前くらい、ふと外を見ると少し日没に近づいている空になっていました。
そして到着ー
この日は疲れてましたが、ドーミーイン稚内(Hotels.com/Agoda/じゃらん)には温泉ついてたので、スーパーでウニなどの買い物をして部屋で食べ(外食する気力なし)、温泉入ってゆっくりしました。
というわけで、4月下旬の利尻島はどう?
ウニ丼食べられなかったり、徒歩で予定外のなかなかハードな散歩となりましたが、あの静けさを伴う非日常感はオフシーズンならではのものでしょうね。
私はそういうのが結構好きなので、結構楽しめました。でもウニ丼は食べたかった…
もしこの雰囲気を取りつつ、だと、泊まれば4月下旬ならウニ漁は始まってるそうなので宿で食べられるのかも?そこは確証がないですので、予約前に問い合わせてみるといいかもしれませんね。→ホテル 雲丹御殿<利尻島>
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