今回は数年前に友人と訪れた、横浜の三溪園についてご紹介したいと思います。
横浜といえば明治時代に西洋からの文化が一気に流入した港湾都市。どちらかといえば日本庭園のイメージはあまりないかもしれません。っていうか私があまりなかった(汗)
実は横浜は結構ゆかりがあるし、私は神奈川と県境と言って良いようなエリアに住んでるので(運動がてら歩いて川崎市によく進入してます)馴染んでるところのつもりだったのですが、中年になるまで三溪園に足を踏み入れてきませんでした。
足を踏み入れてみたら!あら〜素晴らしい!
私が行ったのは12月の10日ごろだったので、紅葉がまだ残っていました。やはり見事な日本庭園に真っ赤な紅葉は映えます。
アクセスは横浜駅/根岸駅からバス
車があると行きやすいのですが、電車だと横浜か根岸からバスという感じになってますね。
羽田空港からレンタカーで少し回りたい、という場合は首都高湾岸線で20分少々で着くので、都内に向かうよりも、こちらの方がオススメかもしれません。
電車→バスだと、私は横浜駅のそごうの方にあるバスターミナルから乗って行ったのですが、根岸駅まで行った方が良さげ…
あと元気な方は根岸駅からなら歩けるかも(2.6km)
三溪園入り口というバス停からは徒歩5分強かな。
開園時間
:9時~17時
(入園は閉園の30分前まで)
公園の入り口のところで入場券を買って入ります。2021年11月現在の入場料は以下の通り
大人(高校生以上) | 700円 (600円) |
---|---|
こども(小学生・中学生) | 200円 (100円) |
横浜市内在住65歳以上 (濱ともカードの提示) | 200円 |
とにかく超”和”!な庭園を1時間以上散策
この三溪園には、1時間少々滞在していました。それだけ見応えがあります。入った時に既に15時半ごろだったので(横浜駅から思いがけず時間がかかった…)、もっと早く入っていればもっと長くいても良いほど、見応えのある庭園です。
自然との調和が素晴らしい風景
入るとすぐに、池の向こうに三重塔が見える素晴らしい設計に感動。
池には鳥も。松の木や中洲の植物と池と、人工を感じさせないような自然の見せ方です。
15時半もすぎると日も大分落ちてきてますが、木の間から差しているのがまた哀れ
野鳥
こんな日本画そのものの光景もありました。
日本画か浮世絵で見た鳥だなあ、と思うのですが、作品名も絵師の名前もわからない…
この鳥の名も「鳥 脚長」で検索かけて画像をずーっと見てみましたが、出てこない!
何だか凄そうなカメラで、かなり姿勢踏ん張って撮っていらっしゃる方もいたし、もしかして結構珍しい鳥??
向こうのほうには橋もかかってる広い池です。
鴨もかなりいました。
ちょっと違うポイントから、少しズームして撮った写真です。
かなり長い間、ジーッと立ってたので撮り放題でした(笑)
美術コレクターとしての原氏が購入した古建築
この三溪園は明治39年(1906年)に実業家の原富太郎氏によって造園されました。原氏は岐阜出身で、横浜の原商店に養子で入って生糸貿易で財を成したようですね。茶人でもあったようです。慶応4年(1868年)生まれということですから造園時38歳…昔の方が早熟とはいえ、すごいな。
成功した実業家が美術品の収集家になるというのは現代でも某氏が浮かびますが、原氏のすごいところは古建築を購入して、この三溪園に移築してるところですね。
室町時代!京都から移築された三重塔
この三重塔は正式には旧燈明寺三重塔 (きゅうとうみょうじさんじゅうのとう)といって、室町時代の康正3年(1457年)に建てられたものだそうです。しかも京都から移築されたそうで。
で、改めて
と思って辞書を見てみると読んで字の如く「他の所に移して建て替えること。」とあるのですが、具体的にどうするんでしょう。バラすのかなあ?と思って、移築の方法自体を検索してみると
↑こちらのページによると、解体移築、曳家工法、吊り下げ工法と3種類あって、その内容を読んでみると後の2つは京都からってのは現代でも無理でしょうから、やっぱり解体するんでしょうね。
木組で釘を使ってないからこそできるということらしいです。それにしても室町にできたものを450年後にバラして運んで組み立てて、それが100年以上経ってもこうして見られるっていうね。ていうか室町の建物をバラす勇気…それに当時は車も高速もなく、トンネルもなく、かなり山道があるはず…想像がつかなくて、もっと詳しいところを知りたくなってしまいました。
横笛庵 建築年も移築の経緯も不明?
こちらも茅葺屋根で趣がある建物なので印象深く写真を撮った記憶がありますが、改めて三溪園のサイトを見てみると、横笛庵という名前にまつわる話は書いてあるのですが(内部に置かれていた横笛という名の平家物語にも出てくる女性の像に因むそうです)、肝心の建物の経緯が不明ということがわかりました。
さらに色々調べると、奈良の法華寺からの移築という説もあるとか。法華寺といえば創建はそれこそ奈良時代に遡る…まあそこにもっと時代が下がってから建てられた草庵があったのかもしれませんが。こちらはさらに謎が深まるなあ。
江戸時代初期!旧東慶寺仏殿
こちらは江戸時代初期の寛永11年(1634年)に建てられたという旧東慶寺仏殿。
旧矢箆原(やのはら)家住宅〜江戸時代の白川郷の民家に潜入〜
私がここで一番楽しめたのが、こちら。江戸時代後期の白川郷の合掌造りの古民家までも、ここに移築されていました。
ここのらへんにも紅葉・黄葉があり、ちょっとした山の中みたいな雰囲気で、それに誘われて入り口の方までやってきたのです。
するとこの古民家に出入りしている人々が。
「え〜、入れるの?」
なんて友人と言い合いながら入ってみることに。
靴を脱ぐので、寒かったです。
冬に行くなら暖かい靴下推奨です。
軒先に干された柿!
昭和末期に子供だった私がうっすら懐かしく感じたところ。
生まれ育ちは一応東京なので家でやってたわけじゃないんですが、祖父母の家近辺で見たような。
中には色々展示されています。
これは馬の鞍だったと思います。
もちろん触ることはできないのですが、当時の使用感が見て取れます。
柱や梁の構造が非常に興味深い。階段を上がって2階に行くことができます。
そして数々の展示ですが、これらは一般的な博物館や美術館にある特権階級用の高級品とかではなく、当時の一般的な人(まあ、庄屋とか豪農とか少し余裕がある人たちかもしれませんが)の暮らしがわかるような品々で、非常に面白く見て回ることができました。
これ何だったかなあ…説明が読めないのでわからない…
時代劇で見たことあるような桶と、日の丸大盆
こちらも、展示スペース
あと囲炉裏!
挽き臼とか、樽とかもあり、昔の台所ってこんな風だったんだなあと。
このあたりは、かなり生活感がありますね。
このあたりのお部屋は、昭和が記憶にある世代なら入ったことある気分になるんじゃないでしょうか。私の場合は祖父母の家がこんな感じだったなあと、ものすごく懐かしい気分になってました。
床の間とかね。
こういう床の間って今では珍しくなってしまってるのでは。
障子と縁側の感じも懐かしい。
原家私邸など
この三溪園には重要文化財となる建物が上で紹介した以外にももっともっとあるのですが、原家の私邸として建てられた建物もあります。
こちらが三溪園の中でも最も大きく、原三渓が自らの住まいとした建物です。こちらを明治35年(1902年)に建てたことを足がかりに現在に至る三溪園の造園が繰り広げられたという原点のようなところですね。
↓こちらがどの建物なのか確信持てないのですよね…
↓明るくしてみました。…で調べてみたけど、このアングルの写真がないので何とも。川沿いで順路的に臨春閣じゃないかと思うんですが、確信持てないので…
臨春閣だとしたら、紀州徳川家の別荘・巌出御殿で1649年築という、これまた大変なものです。
三溪園にはお食事どころなども何軒かあって、我々は茶寮でおだんごを。みたらしと、黒いのは確か黒胡麻?あとよもぎだったかな…?どれも結構美味しいね、と言い合いながら食べた記憶があります。
12月の初旬、紅葉も黄葉もあり、冬ながら美しい庭園だった
他の時期に行ったことがないので比較ができませんが、12月という冬に庭園の自然にこれほど感じ入ることができるとは、全くもって想像以上に素晴らしいところでした。
和服の方も。
この小川の風情!
x
寒椿?が綺麗な小径もあって、日が暮れてきてる冬の空との対比が何ともいえずきれいでした。
1時間少々では全く足りない
ここに行くなら、3時間くらいみといた方が良いかもしれません。そうすればゆっくり食事かお茶の時間を挟みつつ、それぞれの歴史的な建物もパンフレットを見ながらじっくり堪能できるかと思います。
私は昔、都内の浜離宮恩賜庭園を何回かブラブラと散策してたことがあって、大体1時間半くらいだなあと思ってたんですね。それで事前にサラッと見たら、浜離宮は東京ドーム5.5個分で、三溪園は4個分だということで…単純に1時間ちょっとあれば十分かなと思ってたのですが
って感じでした…
実はこの時、パリに住んでた時の一時帰国で、横浜に住んでる友人と会うにあたって
みたいなノリで行っただけなので、行ってびっくり、なんちゅー素晴らしいところなんだ、もっとモタモタせずに早くから来れば良かったわ、という感じでした。(あ、浜離宮ももちろん素晴らしいところなんですよ。ただ性質が違うので所要時間が変わってくるみたいな)
これはどこの庭園でもそうですが、季節によってガラリと変わるので、今度は桜の時期にでも行って、もっと時間をかけて楽しみたいと思います。
古語的な「あはれ」という気持ちにしみじみなってしまったような。
ちなみに、旧矢箆原家の中に展示された民具にそそられた私ですが、パリ(の郊外)でも

歴史芸術博物館というのがあって、中に一般人が使っていたと思われる生活用品が展示されていて「ワオー」となったものです(笑)
パリの庭園といえば、ここはすごいぜというのが

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