先日、南アフリカとイングランドの決勝が行われ、南アフリカの勝利となったラグビーW杯でしたが、英国のプリンス・ハリー(ヘンリー王子。日本では正式名のヘンリーが使われていますが、本国はじめ、英語圏ではnicknameのHarryとして知られています)が決勝を見に日本に駆けつけたことが話題となっていました。
そして今日、Googleアプリのピックアップ記事の一覧(私の普段のネット閲覧傾向を解析してピックアップされてるので、飛行機関連多いです笑)を見ていたら、
ヘンリー王子がANAのプレミアムエコノミー に乗っていた
という記事があるではありませんか。→Yahoo! ニュース記事
そのニュースを色々見てみて、ん?と思ったので、そこを整理して共有したいと思います。
プレミアムエコノミー とは
このブログはANAのステータスをコスパ良く取るには、と云々してる記事が多く、プレミアムエコノミー 、略してプレエコ、というのは色んな意味で良く出てくる単語なのですが、この記事に辿り着いた方の中には、国際線の飛行機なんてあまり乗ることもないし興味もない、という方もいらっしゃると思うので説明いたします。
従来、国際線の飛行機は「ファーストクラス」「ビジネスクラス」「エコノミークラス」の3クラス制でしたが、ファーストクラスは正規運賃だと長距離路線で150万円するようなぶっ飛んだクラスで、普通の人はマイルを貯めて特典航空券をどうにか取る(それだけのマイルがあっても、なかなか空席を見つけて取るのは難しい)とかしない限り、乗れません。
正規に運賃を支払って乗る人が多くないので、ファーストクラスの設定のない路線や機材も多いです。
*もちろんたまに、ファーストクラスとしては安い路線が掘り出し物としてあったりもします。

そしてビジネスクラスはそれよりはグッと安いものの、往復で50万円ほどすることが多く(もちろんセールで20万円台前半くらいという掘り出し物はありますが)、エコノミーで一番安い予約クラスが7、8万円くらいなのが見つけられることからすると、やはり差は大きいです。
しかしエコノミーは本当に狭く、食事をするのも隣の人に肘がぶつからないように小さくなりながら、寝るにもリクライニングは気持ち傾くだけで、足は一番前のバルクヘッド 席(前が壁)か非常口席でもない限り、全く伸ばせず、エコノミー症候群と呼ばれる血液循環の悪さから最悪死に至ることさえある窮屈さ。
それに比べてビジネスクラスというのは長距離だと最近はフルフラットと言って完全にフラットになるまで倒せるようになっていて、また色んな快適な角度にもボタンで調節可能で、個室のようになっていて非常に快適です。



そう、エコノミーとビジネスクラスの差が地獄と天国といいますか、あまりにも大きすぎる!
そこで、2010年あたりから急速に普及しているのが、このプレミアムエコノミー という中間的な席なんです。


エコノミーよりは大分いいですが、ビジネスの快適さにはやはり程遠いです。
当初はプレミアムエコノミー はエコノミーより値段が大分高いことが多く、その価値が微妙と思われていましたが、最近では安くなってきており、エコノミーのフレックスより安い設定もあります。
航空会社のステータスが欲しい人にとっては、その条件であるポイント数を効率的に得られるので、そういう意味でも人気です。


本当にANAのプレエコに乗ってたの?
上記の記事から辿った、機内の王子の姿を捉えた画像がこれです。
Príncipe Harry pega voo comercial no Japão após Copa do Mundo de rugby https://t.co/hd1EOSSFWC
— Universa (@universa_uol) November 5, 2019
この画像を見たら、あれ?と思う人は多いはずです。
というのは、この画像を撮影した人の席はプレエコではなく、ビジネスクラスに見えます。
プレエコに仕切りはない
ポイントは仕切りです。
こちらは私が過去に乗ったビジネスクラスとプレエコの席ですが、
ANAの長距離(そして多くの中距離線)のビジネスクラスはこのように個室のようになっていて、そのプライベート感を出すために仕切りがついてるのですが、プレエコというのはこの写真ではわかりにくいですが、2−3−2配列で、窓側の方でも2席が組になっていて、知らない同士の2人が座ることもあるわけですから仕切りなんかありません。
モニターはどこ?
しかし、この画像を見た時にもう一つ考えたのが、
モニターはどこ?
というのもありました。
ここからすると、プレエコっぽくもあるのです。というのも、この席は前がお手洗いになっていて、このブロックの中で一番前ということになります。
そういうバルクヘッド 、と呼ばれる席では、プレエコの場合、モニターが壁にくっついている機材と、下から取り出してバーのようにセットして見る機材とあるのです。取り出していなければモニターが写真に入らないわけです。
しかし、私はこの写真はこういう感じなのではないかと思います。
テキトーな絵ですみません…
というのも、下に写る茶色い物体はサイドテーブルなのではないかと思うからです。
このシートマップで見るなら、17Kあたり…
もしサイドテーブルなのだとしたら、席は横にあり、モニターがその席の正面にあるため、この画角に入ってないことは考えられます。
まさに今年、ANAはロンドン線のファーストとビジネスをリニューアルしていて、このテーブルはこの「The Room」のものなのでは…

もし、この人がビジネスクラスに乗ってたとしたら、乗客が安全のために着席していなければならない離着陸を除けばプレエコとビジネスクラスの間にはカーテンが仕切られ、行き来は出来ません。
仮に王子だから特別扱いがあったとしても、この席から見て前から来たように見える王子。ビジネスクラスの席の前はビジネスかファースト(ここも行き来はない)。
なので、王子がプレエコとは考えにくいのです。
そもそも、誰がプレエコと言ってるのか?
気になった私は、英語でも検索してみることにしました。
まず、The Sunの記事。UKの代表的なタブロイド紙の一つです。
その記事を読むと、
The Duke of Sussex was seated in premium economy on both his outbound and return flights with Nippon Airways between Tokyo Haneda Airport and London Heathrow.
サセックス公(ハリー王子のこと)は羽田とヒースローの往復とも、ANAのプレミアムエコノミー の席に座った。
と冒頭で書かれており、記事の中ではANAのプレミアムエコノミー のサービス面について書いてるところもあるのですが、
なぜ王子がプレミアムエコノミーの席と断定したか、その経緯がちっとも書かれていないのです。
上の写真を撮ったアカウントの人のコメントは、思いがけず王子に遭遇した驚きと印象で、その人自身はプレエコだ、とは言ってない。念のため、その人の他のtweetも見てみましたが、書いてません。
(ちなみにその人はInstagramに写真をあげてたみたいですが、今はそれを消したのかどうか?上の画像がついたポルトガル語のツイートはその人のアカウントではないんです)
そして、The Daily mailの記事。こちらも有名なタブロイド紙です。
その中でも、この写真を撮った人のコメントは上のThe Sunと同じで、単に王子に遭遇した興奮を述べてるだけです。
そして、記事の中に、
Another witness told MailOnline they were on board the return flight leaving Japan on Sunday at about 11am, and that Harry was sat in premium economy.
もう一人の目撃者が語ったところによると、彼らは日曜の午前11時発の帰りの飛行機に乗っており、ハリーはプレミアムエコノミー に座っていたという。
と、さらっとありました。
…ん?
Another witness(もう一人の目撃者)??
ってことはあの写真を撮った人ではなく、誰か匿名というか、よくわからない人の証言をもとに、このデイリーメールがプレエコと断定したらしい。
そしてそれを他のメディアが鵜呑みにしたんではないか???
例えばこちらの記事では、”According to The Daily Mail(デイリーメールによると)”とデイリーメールを根拠にしているのです。
セキュリティ上、ビジネスとプレエコは雲泥の差
今、セキュリティは非常に厳しいので、プレエコに座っていてもものすごく危険だとかいうことはありませんが、そういうことではなく、プライバシーの確保という意味で、上記の通り、ビジネスのエリアにはエコノミー、プレエコの客は立ち入れませんが、プレエコのエリアにエコノミー客は立ち入れます。トイレも共通です。
そこを考えると、いくらなんでも、ANAの方からしても王子をプレエコに座らせるなんてあるだろうか?と私は思ってしまうのですが。
なんで王子のシートのクラスがこんなに注目されるのか?
それは、ハリー王子が環境問題に取り組んでいるからです。
先日記事にしたように、今ヨーロッパでは飛行機に乗ることと環境問題への意識が注目されているのです。

しかし、8月にメーガン妃とともにニースやイビサ島に行く際にプライベートジェットを使ったことがかなり非難されたそうです。
プライベートジェットは当然、彼らのためだけに飛行するわけですから、大勢で乗る民間機でファーストで広々と乗ることとは比べものにならないくらい彼のために発生した温室効果ガスの量が多いという理屈になります。
そういうわけで、民間機にちゃんと一般人と一緒に乗る!しかも占有面積が小さいクラスであるほど称賛されるというわけなのです。
ただ、私はあの写真からして、プレエコだとは思いませんが、たとえビジネスだとしても、時には私のような小市民が混じってるのがANAのビジネスです。
そこに王子が…?!とそれだけで十分驚きです。
とりあえず、このブログがブログなだけに、ANAのプレエコ、なんて言われたら注目せざるをえず、それがどうしてもプレエコに思えないので、こうしてもしかしてKYなこと書いてる?そこはプレエコってことで大人の事情でさ〜って感じもするのですが、
書いちゃいました。
皆さん、これは…プレエコではないですよね〜?
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