このブログはANAのプラチナステイタスを取り、SFCという半永久的な優遇資格を得た…という私が、そのお得な航空券をご紹介していたり、旅ログにしても飛行機に乗っていくところが中心なので、非常に耳の痛い、この「flygskam(飛行機に乗ることは恥ずかしい)」という考え。
そうはいっても温暖化と関係あると言われる大型台風を経験した今、やっぱり無視できないんじゃないかなと思うわけで、今回は敢えてそこを考えてみたいと思います。
結構前からヨーロッパに広まってきているらしいFlygskam
私がはっきりと、これを意識したのは、皆さんもご存知、先月(2019年9月)の国連気候行動サミットでの演説で注目を集めたグレタ・トゥーンベリさんが「飛行機搭乗を避けるためヨットで大西洋を渡った」というところからでした。
でも、実は同じような考え方を、あるフランス人から4月に言われていました。
というのは私は4月下旬に稚内に行っていた時に彼から電話をもらったのですが、今また北海道にいると伝えました。実は1月末、2月末にも北海道に来ていて今年3回目だったので、彼は
「また北海道?!どうして仕事でもないのにそんなに行き来してるんだ」というので「北海道は広いので、また別のところに来てるんだし、最初の2回はふっこう割ですごく安かったから」と言うと
「1回来て、北海道の中を鉄道なりで回ればいいじゃないか!そんなに飛行機に乗るなんて環境に悪い!地球温暖化を促進している」
と言ってきたのです。(と言っても、彼との会話の中で互いにエコフレンドリーじゃない!とマウント取り合うのが習慣になってたので、真剣に批判されたわけではないですが笑)
その時に、まあ確かにあの大量の燃料というものを意識したことがないわけではありませんでしたが、かなり明確に飛行機に乗ることと二酸化炭素の排出を意識したのでした。
フランスでは来年から環境税としてフライトに課税。スウェーデンでは2018年より施行
それにしても、フランス人の彼がそんなこと言ってきたのも、これが関係するのかもしれません。
来年の2020年より、EU内のフライトでエコノミークラスには1.5€、域外でビジネスクラス以上には最高で18€のフライト税が航空券に対して課税されることが今年の7月に発表されました。
スウェーデンでは既に2018年より施行されているようです。
ちなみにゴミの分別などに関してはパリしかわかりませんが、東京より分別してる感じもなく、ドイツやスウェーデンほどの情熱は感じませんが、パリ協定の場所となった以上、それなりに取り組みの姿勢を見せてきたのでしょうかね。
批判は多いが、グレタさんの言ってることはどうしようもなく正論である
私も全然ニュースを取り入れない時期があったりするので、ここで「グレタさんって誰」っていうもぐりな方がいらっしゃっても驚きはしませんが、そこはWikipediaに委ねたいと思います。
そのスピーチの内容よりも、How dare you! (よくも!)という言い方であったり、怒りを込めた表情だったりに反感を覚える人が多かったようで、また、「彼女がヨットで大西洋を渡るために複数の船員が飛行機に乗るんだから全く本末転倒」などという批判もあります。
しかし彼女は環境活動家として世界の人に警鐘を鳴らしにきたので、そうしたパフォーマンスこそが目的。
実際、これほどの印象を残して話題になっているので、あのサミットでの彼女のスピーチはかなりの成功と言えるでしょう。
彼女が兎にも角にもヨットで大西洋を渡ったことで、まだflygskamという考えが広まってない我々日本人にも、そしてアメリカ人にもかなり知れ渡ったことが大事なのです。
「そんなこと言うなら具体策出せよ」と16歳の少女に言うことは非常に幼稚だと私は考えます。実際に経済活動をしている大人に「少しは温室効果ガスの削減のこと考えて行動して!」と言うのは未来ある子供の当然の権利だと思います。
彼女が言ってることは至極当然のことで、もう何十年と議論されてきたのですが、実際にまだ意識が足りず、マズいところまできてしまったから改めて喝を入れにきた、と捉えるべきだと思います。
9月、10月とかなりの被害が出るような台風が日本を直撃しましたが、ここまでの規模の台風がこの頻度で来るようになったことと温暖化は無関係ではないとの見方が有力で、日本人としても、かなり切実な問題として認識しなければならないと思います。
実際、1kmの移動で1人当たりのCO2排出量は鉄道の20倍
この記事によれば、乗客1人が1km移動する際に排出される二酸化炭素の排出量は、鉄道が14g、道路交通が158gなのに対して航空機は285gということで、飛行機による移動は鉄道に比べて20倍も二酸化炭素を排出しているらしい。
あの大量の燃料で、収容人数は限られているのだからかなりのものだろうとは思っていたけれど、逆に鉄道がなかなか思ったよりエコなんですね。まあもちろんいずれも混み具合によるのだろうけど…
飛行機に乗った時にどれくらいの排出量か?という計算
検索してたら、「あなたが生じさせた二酸化炭素の排出の埋め合わせを」っていう面白いコンセプトのサイトがあり、その中で飛行機に乗ったことでどれくらい二酸化炭素を排出させているか計算できるページがありました。→計算できるページ
これによると例えば私が羽田からパリにビジネスクラスで行ったことによって3.1tものCO2を排出させてしまっていたようです…
ただ単純にエコノミーの2倍で計算されてますが、ビジネスクラスの占有面積はエコノミーのゆうに倍以上あるからもっとかもしれない?!
このサイト的には、これを補うには88スイスフラン(1万円弱)払って途上国や新興国の開発プロジェクトに援助すべきらしい。
飛行機に乗るのをやめろ、という主張の記事ではない
グレタさんが言ってることは正論だと思いますが、私はここでは別にもう飛行機に乗るのをやめよう、と言ってるわけではないです。
グレタさんはスウェーデン人なのでヨーロピアン的な感覚(飛行機に乗れなくても鉄道でかなり広範囲に多文化にアクセス可能)なんだと思いますが、島国ニッポンにそれは厳しい…
正直言えば
早く二酸化炭素排出量を抑える飛行機の開発進まないかな
なーんて、思っちゃってるわけです(こうして皆が他力本願なまま、今に至ってるわけですね)。
どうしても飛行機に乗るなら、極力排出量を減らそう!という提案
BBCの提案
BBCでは「とりあえず飛行機に乗らないのが1番だけど、どうしても乗るならこうして減らせ」という提案をしてます。→動画(英語)
1)荷物の量を最小限に
飛行機が重くなるほど、より多くの燃料が必要となります。
2)直行便に
飛行機って離着陸に最も燃料を使うらしいのです。
3)エコノミーに
1度のフライトでより多くの乗客を運ぶには自分がエコノミーに座って協力しようということですね
4)航空会社を選ぶ
航空会社によって排出する二酸化炭素の量が違うらしいです(後述)
5)地元の空港を選ぶ
遠い方の空港まで車で移動するとより二酸化炭素を排出するからだそうです。
6)埋め合わせをしろ
上記の計算ページを提供しているサイトもそうですが、世界の環境プロジェクトに出資することで排出しちゃった二酸化炭素分の埋め合わせをしろ、ということです。
修行をするなら、排出量効率も考えるべき?
そこで、考えるわけです。
例えば私は単に金銭面でのコスパ的な観点でのみ、こんな記事を出しました。

でも、ANAのプレミアムポイントって国内だと2倍、アジアやオセアニアだと1.5倍で、実際の飛行距離に対して得られるプレミアムポイントはアジア・オセアニア以外の国際線って少なくなる。
ということは同じプレミアムポイントを得るのに、より多くのCO2を排出しているかもしれない!
(プレミアムポイントとは、ANAのステータスを獲得するために搭乗して得るポイントのこと。ステータスとは?という方はこちら)
というわけで計算してみます。
上の記事だと、パリーフランクフルトー羽田ー石垣、の往復で17131PPか、15352PPという計算でした。とりあえず17131PPだとしましょう。
先ほどの計算ページで、プレエコをエコノミーの1.5倍の占有面積だとして考えると、
パリーフランクフルトの往復分(エコ) | 0.282 t |
フランクフルトー羽田の往復分(プレエコ) | 4.65t |
羽田ー石垣の往復分 | 0.708t |
計 | 5.64t |
これをこの界隈でよく使われてるOKAタッチ、即ち羽田から沖縄を株主優待券を使ってプレミアムクラスで往復するということで考えてみます。その場合、往復で5720PP。ということは上のルートの1/3となりますね。
国内線のプレミアムクラスなのでエコノミーの1.7倍くらいでしょうか。
とすると0.9826tとなり、これを3回分(上記のルートと同じくらいのPPを稼げる)だと約2.95t.
よって、OKAタッチの方がよっぽどマシではある。
ということになります。
ただ、完全に飛行機に乗るだけが目的の「修行」って、flygskamの考えからすると最も許せないことだろうとは思いますが(笑)
1km当たりのCO2排出量、航空会社別。ANAは微妙?!
このBBCの記事(英語)の中で、主要航空会社の1km当たりの排出量が2017年と2020年の予測でグラフ化されています。
調査は環境基金グループの協力のもと、LSE(ロンドンにある世界有数の名門校)によって行われたもの。
それによるとEasy Jetがダントツで少ないのですが、他のキャリアと比べてもJAL、ANAは多めになってます。
しかし2020年の予測ではJALは多少削減してると見られるのですが、ANAは増えてる…。
スタアラではユナイテッド、ルフトハンザ、ターキッシュエアラインズあたりが努力してる感じと言えるでしょうか?
でもそれってA380の導入のせい?
でも、それって航空会社というよりは機材によると思うのはシロート考えなのでしょうか?
ANAが2017年より増えてる見込みなのはハワイ路線に大々的にA380という燃費悪めな機材を導入してるからなのではないだろうか…
ということはANAでも747機などを選んでいれば特別排出してるわけではない気がするのだけど。
とりあえず航空業界の行く末に大きな影響はあるかもしれない
ただ一点、グレタさんに賛同できないのは、スピーチの中で経済活動に対して否定的とも取れる言い方をしていたことです。
もちろん環境を一切考えずに目先の利益優先で企業が活動をしていたことによって深刻な環境問題を引き起こしました。
でも、経済発展によって人類の生存が易しくなったことも忘れちゃいけないわけで、環境問題と経済を両立していく仕組みを模索していくしかないわけです。それが難しいんですけどね…
一応排出取引というのが15年ほど前は盛り上がっていたのですが、最近聞かなくなってたところですね。
それは置いといて
このブログ的な懸念としては、こういう考えがトレンドになっていくとすると、航空業界どうなるんだろ?
ということで、もっと言えば
ANA、ずっと残ってるかな?
って懸念もあります。
いや、なんかね、これまでJASは消えてもJALとANAだけは永遠に残り続ける、みたいな無意識の前提があったけど、それほんとかな?っていうね…
JALは残ると思うんですよ。だって破綻した時、やっぱり国は助けた。あれ、ANAだったら?
で、もしANAがなくなったら
せっかくのSFCもなくなり、永遠のスターアライアンスゴールドもなくなる?
ミリオンマイラーを目指してる皆さん…(チーン)
ってことになりますよね。
温室効果ガス?知ったこっちゃなーい。地球温暖化ってウソじゃん?なアナタも、やっぱり知らん顔ではいられない、かもしれません…
とりあえずボーイングやエアバスより早く、三菱やホンダがエコエンジンを開発すれば、飛行機フリークの肩身の狭さも少し緩和される気がするし、日本の技術がまた誇れる時代が来るから頑張ってほしい!
そしてANAはもう少し燃費のいい機材にシフトして!
というお話でした。

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